心の仕組みを知る ー 自己イメージ・言葉・コンフォートゾーン

認知科学・コーチング

私たちは、何を見て、何を大切にし、どのように行動しているのでしょうか。

その背景には、「自分はこういう人間だ」という自己イメージや、普段使っている言葉、慣れ親しんだ考え方が関わっています。

苫米地理論を土台とするコーチングを理解するために、こうした認知の働きと、それぞれのつながりを整理していきます。

1.自己イメージ ―「自分はこういう人間だ」という認識

自己イメージとは、自分自身をどのような人間だと捉えているかということです。

「人前で話すのが得意だ」
「新しいことを始めるのは苦手だ」

こうした自己認識は、何に挑戦し、どのような場面を避けるかにも関わります。

苫米地理論では、自己イメージの背景にある信念や価値観の体系を「ブリーフシステム」と呼びます。自分にとって何が重要か、何が当然かという判断の土台です。

ここで考えたいのは、今の自己イメージを、そのまま未来の自分の限界にしていないかということです。

2.セルフトーク ― 自分に向けている言葉

セルフトークとは、心の中で自分に語りかけている言葉です。

何かがうまくいかなかったときにも、

「やっぱり自分には無理だ」
「次は、やり方を変えてみよう」

どちらの言葉を使うかで、その経験の位置づけは変わります。

苫米地理論では、日々のセルフトークが自己イメージの形成や維持に関わると考えます。

一度の失敗を振り返る言葉が、いつの間にか「自分は失敗する人間だ」という自己評価になっていることもあります。自分への言葉を確かめることは、自分をどう位置づけているかを知る手がかりになります。

3.コンフォートゾーン ― 自分にとって自然な範囲

コンフォートゾーンとは、自分にとって慣れ親しんだ、自然にいられる範囲です。

場所だけを指す言葉ではありません。人との関わり方、仕事での役割、生活の水準なども、この枠組みで捉えます。

大切なのは、「慣れている」と「満足している」は同じではないということです。

不満のある役割でも、長く続けていれば馴染みがあります。一方、望んでいた新しい役割に就いても、落ち着かなさを感じることがあります。

この理論では、自己イメージが、どこを自分にふさわしい範囲と感じるかに関わっていると考えます。

4.ホメオスタシス ― 慣れた状態を維持する働き

ホメオスタシスとは、身体の状態を一定の範囲に保とうとする働きです。暑いときに汗をかいて体温を調節することなどが、その例です。

苫米地理論では、この働きを身体の領域から、自己イメージや慣れ親しんだ環境といった情報の領域へも広げて考えます。

この枠組みでは、コンフォートゾーンが「維持される範囲」、ホメオスタシスが「その範囲を保とうとする働き」に当たります。

変化を望んでいても、慣れた選択へ戻ってしまう。その動きを理解するための視点です。

同時に、新しい状態が自分にとって自然になれば、その状態を維持する方向にも働くと考えます。そこで重要になるのが、どのような未来を自分の基準にするかということです。

5.ゴール ― 現状の外側に、望む未来を置く

苫米地式コーチングでは、本人が心から望む、現状の外側のゴールを重視します。

ここでいう「現状」には、今の生活だけでなく、今の考え方や行動を続けた先に予想できる未来も含まれます。

現状の外側のゴールとは、現在の自己評価だけでは収まらず、達成までの方法も今は分からないようなゴールです。

「今の自分にできること」だけで未来を決めると、選択肢も今の自己イメージの範囲に収まりやすくなります。

そこで、自分が望む未来を先に考える。その未来から、必要な学びや行動を見つけていくという順序を取ります。

6.臨場感 ― 望む未来を、自分のこととして感じる

ゴールを言葉にすることと、その未来を自分のこととして感じることには違いがあります。

苫米地理論で重視される「臨場感」は、その世界が現実であるかのように感じられる感覚です。

ゴールを実現している自分は、何を大切にし、どのように過ごしているのか。そのイメージを具体的にしていきます。

この理論では、ゴール側の自己イメージに臨場感が伴うことで、そこが新しいコンフォートゾーンになっていくと考えます。

それに伴い、重要だと感じる情報や、日々の判断、選ぶ行動も変わっていくという捉え方です。

7.エフィカシー ― ゴールを達成する自分の能力への自己評価

エフィカシーとは、自分のゴール達成能力に対する自己評価です。

今すでに必要な知識や技術をすべて持っている、という意味ではありません。

まだ方法が分からなくても、学び、工夫し、必要な力を身につけながら、自分はそのゴールへ向かえると評価することです。

過去の実績だけで未来の能力を判断せず、これから実現するゴールに対して、自分の能力をどう評価するかを扱います。

8.これらの仕組みと、コーチングの役割

ここまでの概念は、互いにつながっています。

概念何を表しているか
自己イメージ自分をどのような人間だと捉えているか
セルフトーク自分にどのような言葉を向けているか
コンフォートゾーンどのような状態を自然だと感じるか
ホメオスタシスその状態を維持しようとする働き
ゴール自分が心から望む未来
臨場感その未来を、どれほど現実のように感じるか
エフィカシーゴール達成に向かう自分の能力をどう評価するか

苫米地式コーチングは、本人が望む未来に焦点を置き、ゴール達成を支える関わりです。

その背景には、自己イメージや言葉、重要性の判断、コンフォートゾーンといった認知への働きかけがあります。

望む未来を基準に、自分の見方や日々の選択がどのように変わるのか。コーチングを理解するうえでは、このつながりが大切になります。

KOTO-KAで学び、探究すること

KOTO-KA 言香アカデミーでは、こうした理論を手がかりに、日常の中で働いている認知を学び、探究していきます。

自分は、何を当たり前だと思っているのか。
その言葉は、自分の可能性をどう位置づけているのか。
これから、何を大切にして生きたいのか。

概念の意味を知り、自分の経験と照らし合わせて考える。そこから、自分で気づき、選んでいく過程を大切にしています。


参考:苫米地英人『新版 コンフォートゾーンの作り方』(フォレスト出版)の公開目次・まえがき、苫米地式コーチング公式資料。

本文の概念説明は苫米地理論の枠組みに基づき、最後の節ではKOTO-KAの学びの姿勢を記しています。

タイトルとURLをコピーしました